インボイス制度の導入により、売手側は、買手側から求められたときはインボイス(適格請求書)を発行しなければなりません。しかし、小売業、飲食店業、タクシー業など不特定多数の者と取引する事業者は、インボイス(適格請求書)の記載事項の一部を省略した簡易インボイス(適格簡易請求書)の発行が認められます。レシートや手書きの領収書も記載事項を満たしていれば簡易インボイスとして発行することが可能です。
また、コインランドリーや自動販売機、コインロッカーなど、代金の受領やサービスの提供を機械装置だけで行う場合、金額が3万円未満であればインボイスの発行が免除されます。ただし、セルフレジや食券類の自動販売機等ではインボイスの発行が必要です。
年末調整の業務をスムーズに進めるためには、従業員に正しく漏れなく年末調整申告書を記入(作成)し、提出してもらうことが重要です。特に以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
(1)「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」には、本人や配偶者の給与の収入金額、所得の見積額を計算して記入します。収入金額は1月~11月の給与支払明細書の課税支給額(賞与を含む)の合計に、12月の給与と賞与の支給見積額を合計して計算します。収入金額を申告書(裏面)の【給与所得の金額の計算方法】の表に当てはめて所得の見積額を計算します。
(2)年収850万円を超える人で、23歳未満の扶養親族がいるなどの要件に該当する場合は、所得金額調整控除申告書の提出が必要になります。
(3)年初に提出された扶養控除等申告書の内容に変更がないか従業員に再確認します。
給与計算業務には、勤怠管理、給与・賞与の支給額の計算と振込、源泉所得税・社会保険料の徴収と納付、給与支払明細書の作成・配付、さらに年末調整などその内容は多岐にわたります。しかし、標準・定型化した業務も多いため、給与計算ソフトの導入や、インターネットバンキングやダイレクト納付の活用、年末調整の電子化(自動転記・計算)など、デジタル化を図ることで業務の省力化・効率化が進み、経理担当者の業務負担を軽減することができます。
さらにデジタル化によって蓄積されたデータを活用すれば、人件費の管理(推移、労働分配率、残業手当など)や、働き方の見直し(残業時間の削減、有給休暇の取得促進)などにつなげることもできます。
令和5年10月から消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。適格請求書とは、一定の事項が記載された請求書、納品書、領収書、レシートなどの書類や電子データなどのことでインボイスともいいます。
売手(適格請求書発行事業者であること)は、買手から求められたときは、一定の事項を記載したインボイスを発行し、その写しを保存する必要があります。インボイスの発行にあたっては、消費税額計算の端数処理や、納品書と請求書の記載事項などに注意が必要です。
買手は、仕入税額控除の適用を受けるために、自ら作成する帳簿に一定事項を記載して保存するとともに、原則としてインボイスの保存が必要になります。
月次決算には、いち早い業績把握、資金繰りの見通しを立てる、着地点を早く見定め、効果的な決算対策を打てるようにするなどのメリットがあります。経営の先行きが見えない今だからこそ月次決算が重要になっています。
月次決算のデータから、売上や利益、経費の詳細を確認してみましょう。利益は本来業務から得たものか、軽費の増減はどのように変化しているのか、それぞれの内容を把握して、適切な対応策につなげていくことが重要です。
コロナ禍にあって先行きが見通せない状況のなかでは、手元資金を厚くしておくような対策を検討しましょう。
夫の扶養の範囲内で働きたい妻が、特に注意すべき自身の給与収入は、次の金額です。
○103万円以下:妻自身に所得税は課税されないが、93万円~100万円を超えると住民税が課税される(自治体によって異なる)。夫は、所得税の配偶者控除を受けることができる(所得制限あり)。
○103万円超:妻自身に所得税が課税される。夫は、配偶者控除に代わり配偶者特別控除を受けることができる(所得制限あり)。配偶者特別控除は、150万円までは、配偶者控除と同額の控除が受けられ、150万円を超えると段階的に控除額が減少していき、201.6万円以上で控除が受けられなくなる。
○130万円以上:社会保険の扶養から外れ、一定の条件のもと妻に社会保険料の支払いが発生する。ただし、従業員が501人以上の企業に勤務しているなど一定の条件に該当すると、年間105.6万円以上で社会保険の扶養範囲から外れることに注意が必要。
給与の支給額の計算と振込、源泉所得税・社会保険料の計算と納付などの毎月の給与計算業務を電子化することで、業務の負担を軽減しましょう。
給与、源泉所得税・社会保険料は、「PXシリーズ」などの給与計算ソフトの利用によって、支給額や控除額を自動計算することができます。
給与・賞与の振込、源泉所得税・住民税・社会保険料の納付は、インターネットバンキングやダイレクト納付を利用して、社内やテレワーク先から振込、納付を行うことで、自社のパソコンが金融機関の窓口のようになります。
ルーティン業務だからこそ、電子化による業務負担の軽減効果は大きくなります。
高年齢者雇用安定法では、60歳未満の定年を禁止し、さらに雇用確保措置として「65歳までの定年引上げ」「定年の廃止」「65歳までの継続雇用制度の導入」のいずれかを義務づけています。さらに、今年4月からは、雇用確保措置に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保する努力義務が課せられています。
自社に定年制度を設けていますか。その定年年齢は、就業規則上、明確になっていますか。定年を定めていない場合は、トラブル発生の要因ともなります。高齢により十分に働けなくなった従業員であっても、合意なく労働契約を終了することはできません。
定年を明確に定めたうえで、定年後は有期契約による雇用にするなどの対応が必要です。
新型コロナによって一変した環境のなかで、自社が生き残るヒントを、「アンゾフの成長マトリクス」の4つの基本戦略をもとに考えてみましょう。この成長マトリクスは、数値計画を策定し、行動へ移すための重要な手掛かりとなります。
借入金の返済は、長期的な見通しを立てておき、「返済が難しいかもしれない」とわかったときには、いち早く会計事務所に相談しましょう。相談が遅くなると対応策が限られてしまいます。約定返済日に慌てて、金融機関に条件変更を申し込んでも、すぐに手続きはできないことを理解しておきましょう。
債務条件の変更では、元金返済の猶予、返済期日の延長が一般的です。いずれも毎月の返済金額が減少し、負担を軽減することができます。しかし、返済金額によっては債務の一本化などもあるので、財務の現状を会計事務所と相談することが大事です。
コロナ禍にあって受注減少などの影響を受けた状況から、新たな製品開発や新規顧客の獲得などによる業績回復が必要となっている会社も多くあります。新たな事業展開を考える際には、業務フローと商流を図式化してみましょう。図式化することで、事業全体の流れや細部が把握でき、その特徴や損益構造がよりわかりやすくなります。そのことによって解決すべき課題も明確になります。また、社内だけでなく金融機関などの外部に対しての説明もしやすくなります。
政府は「ポストコロナ持続的発展計画事業」として、税理士等の認定支援機関の支援を受けて作成する経営改善計画書の費用を補助しています。この計画書は金融機関への融資申し込みにも活用できるものです。新規事業を立ち上げる際には、ぜひ経営改善計画書を作成しましょう。
ふるさと納税は、応援したい任意の自治体へ寄附した金額のうち2,000円(自己負担分)を超える部分の全額が所得税や住民税から税額控除される制度です(上限額あり)。
例えば、昨年(令和2年)にふるさと納税を行い、今年、確定申告をした場合の控除は、令和2年分の所得税と、令和3年度の住民税から控除されます。
このようなことから、きちんと控除されているのか、どこを見ればそれがわかるのかといった疑問を持つ人も増えています。
また、確定申告不要のワンストップ特例では、所得税からの控除は発生せず、令和3年度の住民税からの減額という形で控除され、確定申告の場合と税額控除の方法に違いがあります。どちらも控除される税額は同じです。